※キャラ崩壊注意






魔王山にオルステッドがやってきた。
ハッシュもウラヌスも死に、魔王と罵られてそれでも姫を助けようと。
そんなオルステッドの前にいるのは奴の親友のはずだった俺。

「ストレイボウ…!」

悲痛そうな叫びをあげるオルステッドを前にそのとき頭にあったのはこうなったいきさつだった。


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アリシア姫が攫われて、どうやらオルステッドがそれを助けに行くらしいと街で噂が流れていた。
どこからそんな情報が流れてくるのかはいいとして、俺は城下町の入り口で待っていた。
流石に一人じゃ無理だろう、というのと一人でいい格好させるか、というのと半々位で。

「一人で行くつもりか?」
「ストレイボウ!」

オルステッドは俺を見て驚いていた。
いやそれより俺が驚いていた。
何だその荷物は。
聞くと町の人が色々くれたらしい。
変な実だのどうみても普通の服だの貰っている。
いや、少しは断れよ。

とりあえず俺も付いていくということを言うとオルステッドは嬉しそうに笑った後言った。

「それじゃあまずこれを…」
「…何だよこれ」

渡されたのはなんというか…説明しづらいものだった。

こんなモン×5
「…は?」
「だって話したら何度もくれるから
とりあえず人数分もらっといたんだ」

99個くれるか試そうかと思ったけど話すのが面倒だから、と付け足した。

「何の人数」
「まぁそれは後々で」

わけがわからない。
いや、というかこれは何処にどうやってつけたらいいのか。
そんなの適当に♪とオルステッドはただ笑うだけだった。


近くの名もない村についた。
一つの家ではオルステッドに憧れるガキがいた。
というか俺は眼中にないのかコラ。準優勝だぞ。
もう一つの家ではボケたジジイがいた。
オルステッドは散々家捜しをした後、壁にかかっている盾を見ていた。

「…やけに立派な盾だよな」
「そーだね…」
「どうした?」
「欲しいなー」
「…人のもの取るなよ」

さっきまで家捜ししてた奴に言うことじゃないなー
と思いつつ、一応言っておいた。

「だってどうせ老い先短そうだしー
「ってオイ!!」

オルステッドがのほほんというと外で何かこけた音がした。
いや、絶対聞こえてたぞあれは。
とにかくそそくさとその家を出て、
勇者がいるらしいという山に登っていった。


山には雪が積もっていた。

「寒い」
「文句言うなよ」

とりあえず山を登っていった。
山頂には墓があった。
勇者の墓…つまりかつての勇者はもういないと。

「来た意味なかったね」
「そういう状況かよ」

勇者がいない、ってことはやっぱり二人で行くのか。
正直魔王ってくらいだから二人じゃ無理だろーなーと思っていた。
そんな俺を尻目にオルステッドは墓の周りをうろちょろしてた。

「…何やってんだ?」
「こーゆーものの裏側に隠し階段が…」

いつのRPGだ。

「いや、無理じゃねーか?」
「じゃあオカリナでも吹かないと」

だから

「とにかくこんな罰当たりなことしてないでとっとと降りるぞ」
「何かアイテムがある予感が…」
「行くって言ったら行くんだよ!!」
「はーい…」


山を降りる途中、山小屋らしい建物を見つけた。
外には無愛想な男がいて、話し掛けても返事をしない。

「…無口なおっさん」
「だからそう喧嘩売るようなこと言うなって」
「不法侵入ー」

と勝手に家に入るオルステッド。

「オイ!!」
「あ…」

家に入ったと同時にオルステッドは部屋の隅に走っていった。
慌てて追いかけるとそこには宝箱が。

「…開かない」
「当り前だろうが…ん?」

ふと壁を見るとどこかで見たことのあるような盾が。
そのことについてオルステッドに話し掛けようと思うと…

「って何してる!!!」

宝箱を高く掲げ床に叩きつけようとしていた。
慌ててその手から宝箱を奪い取り元の位置に置いた。

「面倒なんで叩き壊そうかと」
「あのなぁ!!」
「やっだー、もう冗談だってばー」

いや、絶対俺が止めなかったら叩き壊してただろ。


山から下りて再び村へ。
そしてズカズカとあの老人がいた家に入っていくオルステッド。

「すいませーん、盾下さいー」
「な!?」

老人が驚いている。当り前か。

「いきなり何言ってんだよ!!」
「諦めきれなくて」
「そうじゃなくて!!」

と、盾を見るとどこかで見覚えが…。

「そうだ、この盾…」
「その盾を知っているのか!?」

いきなり老人が立ち上がった。

「え、ええ…まぁ」

そのことを言うと老人はペラペラと饒舌に話し出した。
老人はウラヌスと言うらしく勇者の仲間だったと。

「わしが行こう。あいつを説得せねば」
「え…一緒にくるの?」

あからさまに嫌そうな顔をしている。

「な、何言ってんだオルステッド!」
「だってー、平均年齢ググッと上がっちゃうしー」
「そんなワガママ言ってる場合か!!」
「ちなみにどんな攻撃するの?」

いきなり話を変えてウラヌスに聞く。

「聖属性じゃな。回復も出来る」
「ありがとうございますウラヌスさん!!
(訳・これで治り草大量に捕ってこなくていい!!)
「い、今何か聞こえたような…」

俺も何か聞こえた気がする。

「空耳ですよー、やだなーボケちゃって」

何でこんな性格何だこいつは…。


そして再び山へ。

「ハッシュ!いつまでこうしているつもりじゃ!」

と、説得が始まった。
例によってオルステッドは話を聞いていない。
まぁ俺も話半分で聞いているけど。
そしてハッシュが立ち上がった。
オルステッドが気にしていた宝箱に手をかけ、中から鎧を取り出した。
どうやら説得完了らしい。

「まず山頂へ行こう。アレがなければ…」
「それよりあの盾もらっていい?」

やっぱり話を聞いていないぞこいつ。


山頂で剣を掘り出し、魔王山へと目指した。
しかし道中思ったのはこいつら強い。
ハッシュの多才な剣技にはオルステッドも驚いていたし、ウラヌスの魔法も、俺が使う物より断然強い。
そんなわけで俺たちは魔王山の奥へ奥へと進んでいたはずだった。

「…あれ?」
「どうしたんじゃ?」
「…迷ったかも」
「はぁ!?」
「ここはかなり一本道に近いと思ったが…」

さすが経験者だ。道案内する気はないみたいだけどな。

「おかしいなぁ…よし、一端引き返そう」
「って何で!?」
「なおり草取ってこないと!」
「いや、そんなものなくともわしが…」
「主人公の勘です!そーゆーわけで戻りましょう!」

とかなんとかわけのわからない理屈を言い出した。

「…そうか、勘か」
「ってハッシュ!?」
「いや…こいつはなかなかいい目をしている。おそらく悪いようにはしないだろう」
「ありがとうハッシュさん!」

いやどう考えても買いかぶりすぎだろう。
ウラヌスはウラヌスでハッシュが言うなら…な感じで。
もしかして俺だけが変に思っているのか…?


山を降りてなおり草の群生地を何往復もしてそれから再び魔王山に。

「んー…」

きょろきょろしながら明らかに前通ったはずの道を行ったり、
はてには意味なく引き返したりするオルステッド。
もちろん魔物もかなり出るわけで
もうそんなことが20回程しただろうかという時に俺は言った。

「お前寄り道するなよ!姫を助けるんだろうが!!」
「だって…まだレベルが」
「レベルがどうしたんだよ」

俺が聞くとオルステッドは言いにくそうに口ごもってから俺の方を見て言った。

「ストレイボウ…君のレベルをあげたいんだ!」
「お、俺の…?」
「君がウラヌスといることで自分の実力を嘆いているのは分かってるんだ!
僕もハッシュといて自分が買いかぶっていたのがよく分かったから…だからレベルを上げたいと思うんだ!!僕らのために!!」
「オ、オルステッド…」

そんなに俺のことを考えていてくれたのか…
正直自分勝手でよくわけわかんなくてと思っていたけど
本当はやっぱりいい奴なのかも。

「ついでにいうならブラックアビスを自分で使ってみたいし
「…は?」
「いや、こっちの話…」

と、話を誤魔化した。


そしていざ魔王との戦い。
ハッシュが口上を述べて戦いへ。
ここでイキナリな出来事が起こった。
ウラヌスがいきなり死んだ(戦闘不能なだけだが)
おかげで回復をなおり草ですることになり苦戦した。
果てにはハッシュまで石化するし。
これじゃあ連れてこなくてよかったじゃねーか。

「ストレイボウ…あともう2マス左に!」
「範囲内に入っちまうじゃねーか!」
「いいから!」

いわれて2マス左に行った。
案の定攻撃を喰らう。あわててなおり草を使った。
オルステッドはというとハンマーパワーでチマチマと攻撃している。
…まさかと思ったがまさかかもしれない。

テメェ俺をおとりにしやがったな!!!
「まー死ぬわけじゃないし倒せば万事OKだし!このためになおり草50個も捕ってあるんだから死にはしない!」

サイアクだこいつ。
死んだら化けて出てやろうかとマジで思った。


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思い出しただけでイラついてきた。
何で俺がこいつの世話したりワガママに振り回されて
あげくおとりにされなきゃなんねーんだ。

「…そういうわけでお前は自分のことしか考えちゃいねぇ!!
だから俺がお前を陥れてやろうとしたんだよ!」
「…」

オルステッドは黙っている。

「そういうわけだ…死んで俺にわびろオルステッド!!!」
「ストレイボウ…」

俺が杖を構えるとオルステッドはゆっくりと剣と盾を構えた。
ん…盾…?

「…ちょっと待て」
「ん?」
「その盾まさか…」

あきらかに見たことがある。
まさかウラヌスもハッシュも死んだから盗ってきたのか!?

「お前マジで行動が正義の味方じゃねーよ…」
「だって欲しかったんだもん!」
「お前のそういうところが気に入らねぇんだよ!!」
「だって使った方がいいじゃないか!」
「大体魔王と戦う前に俺とハッシュの装備全部外してたことといい
城から逃げる時向かってきた兵士を全部倒してから悠々と外に出たり
お前絶対魔王の素質しかねーよ!!むしろ魔王でしかない!!」
「弱かったなーあの兵士たち」

とか平気で言ってる。

「じゃあ戦おうか…」
「…当り前だ」
「ひとつだけ、いいかな…?」
「何だ…」
…なおり草50個、捕りなおしてきたから

やっぱりこいつ魔王だ。