小さな小さな花を見つけた
こんな世界にも花が咲くのかと思った。
とても小さな淡い桜色。
しかしこの色がくすんだような世界の中では
とても鮮やかな色彩だった。
先の見えない戦いの中で、
癒しともいえるその存在。
こうやって花を見たことなどなかったと思う。
視界に入ったとしてもただそこに『在る』だけのもの。
それから生まれる感情などなかったはずなのに。
今はこうして、安らかな気持ちになれる。
「どうしたんだ?」
そうやって聞いてくるのは
この花に対しての思いと同じく、
以前はなかった、心を許せる仲間。
「…花が、咲いているでござる」
「え?マジか?」
他の二人も花を見にきた。
「こんなところにも咲くんだね」
少し嬉しそうに笑って言うレイ殿。
「ちょっと意外だよな」
驚きながらもにこやかに笑う高原殿。
「…綺麗だな」
しみじみと、だが何か考えるように、
しかし優しげに微笑んで言うアキラ殿。
「確かに」
拙者も頷いた。
「きっと、この世界を作ったやつもこうやって花が咲く世界を本当は望んでるはずなのにな」
どこか遠くを見ながらアキラ殿が呟いた。
「…どういう意味でござる?」
「いや、なんとなくだよ」
「?」
この世界を作った者。
それが誰でどんな者なのか知らない。
こんな誰もいない淋しい世界を望んだものがいるのだろうか?
アキラ殿はその心を理解できているのだろうか。
だがこの花を望む心は理解る気がする。
この世界のように淋しい存在だった自分ですら
美しいと思える、小さい花。
まるで小さな希望のような、そんな花。
元の世界に戻ったら、花を探してみたい。
きっとすぐ近くに見つかる気がする。
小さな小さな、儚い花でも。