春眠暁を覚えず、と言う言葉がある。
「簡単に言えば春は眠くなるってことッスよねー」
「だからといってソファで寝ていい理由になるか」
ティーダに今日は練習が遅くなると言われ時間をちゃんと考えて夕飯を作っていた。
あらかた準備が終わり、時計を見ると既に帰ってきててもいい時間。
練習から帰ってきたはずなのに静かだと思ってきてみたらソファで寝ていた。
ただいまぐらい言え、と起こしてさっきのやり取りに繋がる。
「じゃあアーロンと一緒に〜」
「駄目だ」
と、腕を払った。
「すぐ夕飯が出来るから皿とか出しておけ。また寝てたらもう作らないからな」
「ケチ〜」
後ろでティーダが何かしている気がしたが気にせず台所に戻った。
「春の陽気はいいッスよね。暖かーいぬくもりが俺の季節って感じゃない?」
少し遅めの食事を終えて、ティーダが言った。
「去年は夏が自分の季節だと言ってなかったか?」
「夏は活動の季節。春は恋の季節、つまりどっちも俺の季節ッスよ」
「…恋、な」
テレビのチャンネルを変えながらでも後に続く言葉を考えるのは容易だった。
「まぁ俺はアーロンと愛を深め合いたいけどー」
やっぱりか
「うるさい邪魔だ退け」
後ろから抱きつこうとしてくる手を叩いてソファーにちゃんと座らせた。
特に見たいという番組もなく、仕方ないので話をさっきのものに戻した。
「春が恋の季節、夏が活動の季節、じゃあ秋は何なんだ?」
「秋はロマンの季節、ロマンチックな雰囲気で一気に恋は燃え上がる!!」
…まぁ気持ちはわかる。
確かに秋はそういう言い方も出来るだろうからな。
これは他と違って一般的な見解だな、と思った。
「…ついでに聞くが冬は」
「冬は肩を寄せ合い愛を暖めあう季節ッスよ♪」
ふと、まさかと嫌な考えが浮かんだ。
「…夏の活動、というのはまさか…」
「もちろんデートしまくるってこと」
当然だと言う様にティーダがにっこり笑った。
その笑顔にやけに脱力感を誘われた。
「…」
「つまり一年中ラブラブでいたいってことッスよ」
あぁもういいか。
なんかどうでもよくなってきた。
いつのまにかティーダが横にベッタリ張り付いているが退けることも面倒になった。
「要はベタベタしたい理由が欲しいというわけだな」
「そういうこと♪」
そんな理由つけなくてもいつもしていると思うんだがな、と
俺は今更なことを思ってため息をついた。