「アーロン、花火しよー」
ティーダのいきなりの提案で
何故か花火をすることになった。
古風にロウソクを立てて、水が入ったバケツも用意。
今日はそんなに風もないようだし、なかなかいい感じだ。
「何からする?打ち上げ花火?それともドラゴン?」
花火がたくさん入ってるお徳用の袋から大きめの花火を何種類か出そうとする。
「いきなりそういうのは…」
「んじゃねずみ花火」
「それもあまり変わらないだろ」
かなり不満そうな顔をしているが普通のカラフルな色がついた手持ち花火を渡された。
何種類かある手持ち花火を制覇していよいよという感じで聞いてくる。
「そろそろいい?」
気分的にはもうすこし残っているのをしたかったがこれ以上待たせるのも何かなとも思った。
「あぁもう勝手にしろ」
「やった♪」
心底嬉しそうな顔をして袋から出している。
…何種類入ってるのか数えようとしてやめた。
豪快に吹き上げられる色とりどりの炎。
「ん〜、やっぱこういうのがいいよね」
「そうか?」
「だって大きい花火は打ち上げが多いし 見てて楽しいじゃん、こういうのは♪」
だからといって全体的なバランスというのも必要だ。
まぁ根がお祭り小僧だから仕方ないとは思うが。
「…俺は小さい方が好きだな」
「えー?」
俺が呟くと不満そうな顔。
そんなことは無視して残りの花火を見る。
「どうでもいいがあと線香花火しかないぞ」
「え…」
残っていた手持ち花火は大きいのをしている合間にしてしまったし大きいものは連続で何個もつけたりして一気に使い果たしたようだ。
残っているのは小さな小さな線香花火。
「後先考えず大きいものを優先でするからだ」
「い、いいじゃんか別に!」
とりあえず数を数えてみる。
「10数本あるな」
「じゃあいっぺんに全部…」
「もったいないから却下」
仕方なく一本ずつ、向かい合ってやる。
どっちが長く続けられるかなどとやりながら少しずつしていく。
「…地味だけど、一応綺麗だよね」
なんでそう一言多いのか。
「ほんとに派手好きだな、お前は」
「そういうアーロンはこういうしみじみするの好きなんだろ?」
少し馬鹿にした様な口調。
「まぁな」
「最近は大きい線香花火もあるけどアーロンはあんまししないし」
しないのではなくて数が少なかったとかお前が好きそうだからとか。
だがあながち間違ってなかったので訂正はしないでおいた。
「線香花火は小さいからこそ美しい」
「んじゃ俺は?」
そういって線香花火を持ったまま顔を覗き込んできた。
「俺は小さい線香花火?だから好きなの?」
小さい線香花火なんかではないと思った。
それよりふさわしいのは……
「いや、お前は打ち上げ花火だな、大輪の」
言ってて自分で恥ずかしくなった。
だがティーダは少し暗い顔をした。
「じゃあ俺のこと嫌いなんだ」
「…お前こそ俺は線香花火みたいで嫌いなんじゃないのか?」
そう返すとティーダは逆に当り前みたいな顔をして言う。
「まさか。俺は線香花火も好きだもん」
さっきは地味だとか何とか言ってたくせに、と思う。
「節操がないだけか」
「うわ、それ傷つく」
そういっていつのまにか落ちていた線香花火をバケツに放り込んで新しいのをとって火をつけた。
残りわずかの線香花火。
見ていると不思議な気分になる。
「…人は自分にないものを求める」
「は?」
いきなり呟いた俺にティーダは間の抜けた声を出した。
「自分では手に入らないからこそ、それに憧れ想いを寄せるものだ」
線香花火をみつめる。そろそろ終わりそうに弱い光。
「…お前は俺とは違う。だから…」
「好き?」
そう言われ、黙って頷いた。
瞬間嬉しそうなティーダの顔。
「あ、今自分で言わなかったらアーロンから言わせられたのに」
「もう遅い」
「ま、いいや。アーロンが素直なの珍しいし」
「そういう言い方すると火つけるぞ」
「それは勘弁して」
後片付けをしながらティーダが呟いた。
「…でも同じような性格の人がくっつくこともあるよね」
「それはそれだ」
「結構いい加減?」
「うるさい」
「やっぱ花火してよかったなー」
まぁティーダが満足してるらしいのでいいとしておこう。