「あけましておめでとー」
「あぁ、そうだな…」
「何むくれてんだよ」
「Ha!テメェがそれを言うか」

政宗は年越しは2人共に過ごすのだとてっきり思っていた。
よく食べる慶次のためにと年越しそばやらお節やらの準備も万端だった。
あわよくば飯に酒にと上機嫌な慶次と姫始めとしゃれこもうかと…まぁそういうことだ。
それが大晦日の3日前、突然帰るとあっさり出て行ったしまった。
そのことが政宗はいまだに納得できない。
曰く、せっかくのRomanticなEventをLoverと過ごさないとはどういうことだ、と。
いやあまり恋人同士の行事ではないと思いますがと小十郎がこっそり思ったのはさておき。

「だからぁ俺んとこじゃ毎年皆で歳越すって決めてるって何度も言ったろ」
「そんな説明で満足いくか。それとも代わりに何かしてくれるっていうのか?」
「あ、そうだくれるって言えば…」

政宗の横にいる小十郎へ満面の笑みを浮かべた。
その笑顔は政宗には絶大な嫉妬を、小十郎にはなにやら嫌な予感を胸に抱かせたのことはいうまでもない。

「小十郎さん、お年玉ちょーだい」
「は…?」
「お年玉」

言いながらちょーだい、と両手を差し出す。
なるほど慶次曰く家族の付き合いを早めに切り上げてきた理由かこういうことか。

「諦めな慶次、俺だって貰ってないモノ他所のお前にやるわけないだろ」
「欲しかったんですか政宗様…」
「ちぇっ、小十郎さんのケチ」

あてが外れてぷぅとむくれる慶次にざまーみろと政宗がこっそりほくそえむ。

「…ってそうじゃねぇよ。おい慶次話はまだ終わって」
「あー!そうだそうだこれやろうぜこれ!」

政宗の話も聞かずにごそごそと荷物を漁りだした。
中から取り出したのは羽子板が2枚と黒い木の玉に鳥の羽根を差し込んだ…所謂羽子だった。

「羽根突きしよーぜ!」

キラキラと目を輝かせながら言われて誰が断れるだろうか。






当然断れなかった政宗はうきうきな慶次と共に庭に陣取った。
そして小十郎も慶次に審判がいるだろ、と当然のように連れ出され何度目かのため息の後仕方なしにとそれを聞き入れた。

「では…って何だそのでかい羽子板は!!」
「え?だって俺っぽいだろ?」

慶次の持つ羽子板は愛用の武器に似て大きくそして派手に色塗られていた。
派手な飾りは決して打ち合うのには相応しくないだろうがぶんぶんとふりまわしても大丈夫なところを見ると特別性なのだろうか
そうだとすればさりげなく「慶次」と名前も書かれている辺り、慶次らしくもある。
…が、あくまで今からやるのは羽根突きだ。公平でないだろうこれは。

「まったく…政宗様も何か………政宗様?」
「何だ小十郎」

片手に三つ、左右あわせて六つ…刀ならばさぞかし様になるだろう。
だが実際にその手に持つのはのは羽子板だ。しかも六枚。
慶次といい一体どこから用意したのだろうかなどと定番の突っ込みをする気力すらない。

「それで、両手をふさいだ状態でどう打ち始めるおつもりですか」
「…Shit!俺としたことが…」
「へへーん、その点俺のこいつはでっかいから断然有利だぜ!
新年早々一発負かせてやるから覚悟しろよ政宗!」
「言いやがったな…なら負けたら何でもしてもらうぜ慶次!」
「望むところだ!」

もう審判などまどろっこしいものはどうでもよくなったのか打ち合いが始まった。
傍から見てると羽根突きとは思えない攻防に派手好き部下らが集まってくる。
あぁもうどうこの事態を収めればいいのやらと頭を抱える一方で楽しげな2人を見ていると自然と口許がほころぶ。

「…今年も良い年になりそうだな」






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新年そうそうアホなことやってます。
羽子板六爪がやりたかったんですハイ。

しかしこの時代に羽根突きがあっていいんだろうか…。
個人的には『前田家恒例新年羽根突き大会』とかしてたら素晴らしいのに。