※六英雄時代捏造
※テルミのビジュアルは没案のフードのものになってます
黒き獣との戦いはいつ終わるとも知れず、気がつけば随分の時が経つ。
優勢となってきたとは言え気が抜けるときは無い。
だがあと僅かだという確信も薄らとある。
ハクメンがそんなことを考えながら刀の手入れをしていると背後に誰かが近付いてきた。誰かは振り返らずとも分かる。
仲間…と言うわけでもないが集まった者はそれぞれ気配が特殊だ。
その中でも特に好まぬ者の気配ともなれば…ハクメンは意図的に無視を決め込んだ。
「よぉハクメンちゃん、遊ぼうぜ」
軽い口調で話しかけてくるがハクメンは手を止めない。
わざわざ会話してやるのも癪だと言わんばかりの気配を醸し出していると言うのにそれをわかっていながら気配は近づいてくる。
「無視すんなよ。それとも耳が遠くて聞こえないってか?」
気配が徐々に近づきやがて背後まで来たがハクメンは振り返りもしなかった。
次の声は頭の上から聞こえた。
「おーいハクメンちゃーん」
「その呼び方はやめろと言った筈だが」
「なんだよ聞こえてんじゃねーか」
そう言うと気配の主…テルミは隣にしゃがみ込み下からハクメンを覗きこんだ。
仮面のせいで視線がかち合うことは無いがそれでようやくハクメンは手を止めた。
テルミがフードから見える口元をにいっと歪ませて笑う。
「で、遊ぼうぜ?」
「断る」
「何でだよ」
「理由が必要か?」
素気なく応えるとテルミは面白くなさげに口を尖らせた。
仕草自体は子供かと言いたくなるようなのにフードの奥の目はハクメンを探るように光る。
だがすぐにその雰囲気をかき消し今度はからかうように笑う。
「そんな深く考えるこたねーよ、遊びっつっただろ遊び」
「軽々しく疎のような遊びに付き合う気は無い」
「別に初めてでもねぇくせに、あ、俺がその初めてなんだっけ?」
「斬られたいのか?」
そう言って刃を返して凄んで見せたがテルミは一向に臆さない。
殺気を放っているハクメンの仮面に悠々と手を伸ばし触れた。
どうだと言わんばかりにテルミが笑うものだからハクメンは大きくため息をついた。
言ったところで聞きはしない、そういうところは本当に子供とそう変わらぬのかもしれない。
「…物好きな男だな」
「そうか?テメェは面白いと思うぜ」
「私がか…理解出来ぬ考えだな」
「理解?そりゃ無理だな」
「無理だと?」
「それはな…俺だけが解ってりゃいいんだよ」
フードの奥の目を怪しげに光らせながらテルミが低く呟いた。
まるで三流の口説き文句のような言葉だというのにハクメンは一瞬たじろいだ。
認めたくはないが一瞬見せたテルミの本気に気押されたのかもしれない。
テルミは目ざとくそれに気付くとさらに口元の歪みを強くした。
「何だこういうのに弱いわけ?」
「っうるさい…やるならとっとと終わらせろ」
ようやく観念してハクメンが言うとテルミはすっと笑みを消し更に眼光を強めた。
そして耳元に顔を寄せ甘く囁く。
「たっぷり可愛がってやるよ、ハクメンちゃん」