ここはオリエントタウンの診療所。
「誕生日…ですか?」
「そうなんでさ!」
診療所の医師であるライチの前に色違いの忍び装束の男が二人、畏まって座っている。
男二人は共に浪人街の忍びであり、そして愛と正義の咎追いシシガミ=バングの部下である。
バング経由で面識がないわけではないが急に尋ねられ、用件を聞き返したライチに部下たちは勢いづいて答える。
「どうか姐さんにも祝っていただきたくて」
「きっとお頭も喜びます!!」
用件というのは至極単純明快であった。
『来るお頭…つまりシシガミ=バングの誕生日の祝いの席に是非とも参加していただきたい』
つまりはそういうことであるが当のライチとしてはいきなりのことに戸惑いを隠せない。
「そうは言われても…どうして私に?」
「そりゃあ…」
お頭があんたに惚れてるからです、などと今更説明させるのかと部下2人は顔を見合わせる。
あれだけアタックをかけているのを間近で見ている部下たちである。
ライチがそのことにまったく気が付いてないなどと思うわけもない。
が、空気を読むことに関しては定評のある部下である。
「そりゃあ日頃お世話になってるからでさ!!」
「そ、そうですぜ!せっかくの祝い事ですしぜひとも姐さんにも!!」
「そうねぇ…」
部下が咄嗟の判断でそう返せばライチはうーん、と考える。
バングのことは知人(もしくは患者)として接しているが確かにいくらか世話になってる(と言ってもバングが急にやってきて何でもいいから手伝いを!!とせがむのだが)。
それにここまで頼まれて断るのもかわいそうな話だ。
祝い事の席だと言うのならば人が多いに越したことはないだろう。
「…わかったわ。私でよければ」
「おぉぉぉ!!」
「ありがとうございます姐さん!!」
「あの、出来ればその『姐さん』って呼び方は…」
「よかった、これでお頭も喜んでくれます!!」
聞いちゃいない。あの頭領にして部下である。
「それじゃあタオカカにも伝えておくわね」
「おぉそれはありがたい!!」
「お頭も喜んでくれますよ!!」
正直タオカカ相手に上手く話ができるかどうか心配だった部下たちはここぞとばかりにライチに後を託して診療所を後にする。
そうして二人を見送ったのはいいがライチはため息をつく。
「問題はタオカカがちゃんとわかってくれるかどうかよね…」
少し軽率な発言だったかしら、と一人小さく呟くのだった。
* * * * * * * * * *
部下二人は最大の難関(と思われている)ライチの承諾を得て肩の荷が下りた気持だった。
意気揚々と帰る途中、ある人物を見かけ足をとめた。
「おぉ、あそこにいるのは!!」
シルクハットに大きな眼鏡、そして何より特徴的な大きな女性型のからくり人形と共に歩くのは、バングと同じく咎追いをしている少年カルルだった。
「カルル殿ー!!」
「はい?あ、えーと…バング先輩の部下の方たち、ですよね?」
部下たちが呼び止めるとカルルは首をかしげながらも人形と共に振り返った。
「実はちょっと折り入って頼みたいことが…」
かくかくしかじか、と部下たちがライチにしたものと同じ説明をする。
カルルは始めこそきょとんとしていたが全てを聞いてそうですか、と頷いた。
「バング先輩のお誕生日…ですか」
「そうなんでさ」
「ぜひカルル殿にも」
「…どうしようか、姉さん」
困ったように人形を見上げるカルル。
部下たちからすれば人形を姉と呼ぶカルルはかなり不思議なのだがそこはバングから『何か事情があってのことに違いない、事情を聴くなど無粋なことはしてはならぬでござるよ!!』と常々言われている。
カルルもバングのそういう部分はわかっている。それには確かに感謝はしているのも間違いなかった。
「うん、そうだね。お世話になってるし」
「と、いうことは…」
「はい、僕でよければ」
にこりと笑って答えるカルルに部下たちは礼を言い改めて当日屋敷の方へ訪ねてほしいことを告げた。
「おそらくお頭は初日の出を見に行きますんでその間に屋敷の方に…」
「はぁ…じゃあ結構朝早くに向かわないといけないんですね」
「いや、近くの山の頂上まで行っちゃいますんで…それでも昼前には戻ってきやすんで」
「さ、さすがバング先輩ですね…」
近くの…と言ってもそう近くないことは浪人街に赴いたことのあるからわかる。
だが部下たちが言うのならばそうなのだろうとカルルは素直に感心した。
バングらしいというかなんというか…呆れる気持ちも無くもないがその辺りはうまく隠す。
それではよろしくお願いします、と部下たちはその場を去った。
「じゃあ何をプレゼントしようか考えないとね、姉さん」
誰かを祝うなんて久しぶりの事だ。カルルはどこかうきうきしながら姉と共に歩きだした。
こうして着々とバングの誕生日を祝う準備が整っていた………。
* * * * * * * * * *
さて、何も知らぬバングがハクメンの処へと訪れたのは部下たちの暗躍から数日後のことだった。
ちなみにハクメンの処と言われて厳密にそこが何処かとか深く考えてはいけない。いろんな意味で。
「部下たちの様子がおかしい、と…?」
ハクメンが聞き返すとバングは神妙な顔で頷いた。
急に訪ねてこられ何事かと思えばこのような相談事である。
本来ならば追い返してもいいぐらいのことだがあまりにも真剣な悩みのようなので思わずそれにのってしまう。
「おかしいとは如何様にだ」
「仕事はちゃんとこなしているのでござるが…」
むぅ、とバングは唸りながら続ける。
「なんというか、どことなく余所余所しいというか避けられているというか…よもや拙者に隠れて悪さをするとは到底思えぬし、だとすればもしや拙者に何か至らぬ点があったとしか…!!」
「成程。…それで何故部下のことで私のところに来る」
もっともな疑問を返すとバングはそれはもちろん、と拳を突き上げた。
「それはもちろん…ハクメン殿を信頼してのことでござる!!」
あまりにきっぱりと答えられると、まあ、悪い気はしない。多少喧しいが。
「心を許しているとは言え部下という立場上拙者の前では上手く言えぬこともあるやもしれん。だがハクメン殿ならば臆することなく悪い点を指摘してくれるに違いないと思ったのでござるよ!!」
自信満々に褒めているつもりなのだろうがとてもそうは聞こえない。
そんな理由かと思わず突っ込みたくなったがバングの真剣な瞳にそれは抑えておくことにした。
「ささ、というわけで何か思い当たることを言ってくだされハクメン殿!!」
とても至らぬ部分を聴く者の態度ではない勢いでバングがずずいっと寄ってくる。
その勢いにため息をつきながらハクメンは渋々口を開いた。
「…強いて言うならば」
「ならば?」
「人の話を聞かぬ所、か」
「う゛」
心当たりがあるのかないのか、もしくは誰かに言われたことがあるのだろうか。
バングは一歩下がって複雑そうな顔で視線を逸らして頬を掻いている。
「…とはいえ貴公の部下たちはそれにも慣れていることだろう」
「そ、そうでござるか?」
「もし何か汚点があるのだとしても、私よりも付き合いが長いのだからその程度の事は心得た上で共にいる…違うか?」
「た、確かに。だとするといったいなぜ…」
そんなことわかるはずもない。
あり得そうなことと言われても部下たちとほとんど面識のないハクメンには測りかねる。
ハクメンは思いつく理由の中でとりあえず事が治まりそうなものは…と考える。
「…貴公の思い過ごしではないのか。今更一挙一動に目くじらを立てる連中でもあるまい」
「なるほど…さすがハクメン殿、的確なあどばいすでござるな!!」
どこがアドバイスなのだろう、と言った本人が思うぐらいなのだがどうやらバングは納得したらしい。
肩の荷が下りたかのように…いや実際降りたのだろう、バングが大きく息をついた。
バングなりに深刻な問題だったらしい。
それにしてはあっさりと解決しすぎな気がするが当のバングがいいのならばいいだろうとハクメンはそれ以上の追及はやめた。
気を取り直したバングが思い出したように顔を上げる。
「そういえばハクメン殿は新年はいかがするつもりでござる?」
「新年、か…そういう貴様は何かするつもりなのか」
「拙者は毎年山を登り初日の出を拝みに行くでごさるよ!!」
「…山、だと?」
目を輝かせて言うバングに何やら嫌な予感がする。
「あれはなかなかいいものでござるよ!!おぉそうだ是非ハクメン殿も」
「断る」
「ほへ?」
全てを言い終える前に即答するとバングは間抜けな声を出して目を二、三度瞬かせた。
「生憎だがそこまで暇ではない」
「そ、そうでござるか…」
肩を落とす姿に罪悪感が生まれないわけではないがここは譲れないところである。
浪人街付近に確かに山はある。ある、が…決して近くではない。
ましてやバングのことだ、山の中腹で日の出を拝むことはあるまい。
烈火のごとく勢いで山を登り、初日の出を見たその余韻もそこそこに山を駆け下りる姿が目に浮かぶ。
自分がそれについてく姿など想像したくもない。
「ま、まぁ確かに急に誘ったのも悪かったでござる。ではまた次の年にでもどうでござろうか」
「どうだろうな…」
何故そうなる…と思わなくもない、だが一年後もこうして共にいるのを前提とした会話と言うのは悪くない。
曖昧に返したつもりだがバングには承諾に見えたらしい。
ならば…と言葉を続けようとして急に何かに気づいて慌てて立ち上がった。
「しまった、そろそろ戻って新年の準備をせねばならなかったでござる!!それではハクメン殿、失礼するでござる!!」
返事も聞かずそう言い残してバングは姿を消した。来るのも急なら帰るのも急だ。
バングが去った後を見送り、ハクメンは打って変わり殺気を纏わせながら静かに振り返る。
「…何用だ」
「あら、随分な言い方ね」
闇の中からそう言って現れたのはレイチェルとその下僕だった。
狭間に幽閉され第七機関によってサルベージされたハクメンではあるが思惑が絡み合うことはなく、現状こうして仮初の自由を得ているのはレイチェルの手によるものが大きい。
ただ退屈しのぎと言っては何かしらちょっかいを出してくる部分は不快ではあったが。
「あの忍者には優しかったようだけど」
「貴様には関係のないことだ」
「そうかしら。あなたも気になるんじゃなくて?彼の部下の行動の理由」
「何…」
思わず聞き返すとレイチェルは笑みを浮かべた。
「ふふ、いいものを見せてもらったから特別に教えてあげるわ」
いいもの、の詳細は語らずそう言って一冊の本を取り出した。
統制機構所有の咎追い達に関する冊子のようだった。
一部の有名な咎追いのデータが収められているそれは統制機構の末端の人間、あるいは咎追いの仕事を支援する者に秘密裏に渡されているものらしい。
…とは言え、裏では追われる側がその手を逃れるために手に入れたりあるいは熱狂的なファンの収集癖を満たすためにも出回っていたりもする。
「情報を集めることも満足に出来ないなんて大変ね英雄さん」
容易に出歩けないハクメンを嘲笑うように…いや、実際嘲笑っているのだろう、レイチェルはくすくすと笑みをこぼした。
言葉を返したところで仕方ないとハクメンは本を受け取りページをめくる。
バングのページはすぐに見つかった。
データ自体は微々たるものだがそのなかに答えはあった。
「…成程、そういう事か」
「そういう事よ。あなたがどんなことをするのか楽しませてもらうわね」
そう言い残してレイチェルは来た時と同じように闇へと消えていった。
「悪趣味な事だな…」
* * * * * * * * * *
そうして来たる一月一日、元旦。
バングは浪人街近辺の山の頂上にて初日の出を拝んでいた。
イカルガの再興を誓い、ついでにライチ殿との仲がいから進行したらいいなぁとお願いもしている。
光輝く太陽は昔と何も変わらずその眩しさに目がくらむくらいだ。
またこれから先も何度もこれを拝むのだろう。イカルガのそしてカグツチの皆と共に。
そしてその皆の平和を守るのだ、とバングは固く己に誓う。
「…よし、こんなものでござるな!!」
清々しい気持ちでバングは山を降りる。
朝のまだ冷たい大気を昇った太陽のまだゆるやかな日差しがそれを温めていく。
なんとも心地のいい空気である。バングの足も自然と速まりそれは一陣の風のようでもあった。
屋敷に着くころには太陽も随分と昇りバングの気持ちもとても晴れやかだった。
「お頭おかえりなさい!!」
「準備は出来てますぜ!!」
「おぉ、すまぬな」
新年の酒宴のことだろうと思いながらバングは屋敷に上がった。
本来ならば無駄は抑えたいところだがそこは正月ということで大目に見ている。
正月に宴を開くことで福を招くのだと言う、そういう目的があってこその行いである。
後で街の者たちにも顔を出さねばなどと考えながらバングは宴の場の襖を開けた。
「お誕生日おめでとう!!」
盛大な火薬音と共に声が響きバングは慌てふためいた。
「なななななな、何事でござる!?」
「だって今日はバングさんのお誕生日でしょう?」
そうクラッカーを持つライチが笑顔で答える。
「ライチ殿!?な、何故ライチ殿が…た、誕生日!?」
「むさい人にぶいニャス」
突然の出来事にあたふたどきまぎしていると奥の卓で既に食事に手をつけていたタオカカが答えた。
「むさい人の『たんじょーび』だってこと、タオだって10回聞いてちゃんと覚えたニャスよ!!」
「タオ…50回は教えたわよ私…」
「まぁそんなわけで誕生日おめでとうございます先輩」
ライチが肩を落としながら呟いているのを尻目にその横からカルルがにこりと笑いかけた。
「こ、これは一体…」
ようやく冷静になってきた頭で尋ねれば部下たちが各々答える。
「お頭ここ数年働き詰めで御自分の誕生日も忘れてるじゃないですか」
「殿が御存命の頃は殿の意向で新年のお祝いと一緒に祝っていたのに最近は忙しいからかさっぱりで」
「ですからあっしらがお頭の誕生日を盛大にお祝いしようと思いまして!!」
「おぬしら…!!」
部下たちの言葉に目頭が熱くなる。
確かに、ここ数年そんな祝い事をする余裕すらなかった。
今でこそ落ち着いてはいるがここまで形にするのにどれほどかかったか…そんな中でまさか自分のことをここまで考えてくれていたとは。
「そんなわけでお誕生日おめでとうございます。はいプレゼント」
ライチにそう言われて慌ててこぼれかけた涙をぬぐいプレゼントを受け取る。
落ち着いた雰囲気だがどこか華のあるライチらしい装飾がされている包みだった、
「ラ、ライチ殿…かたじけないでござる…っっ」
「気に入ってもらえるかわかりませんけど…」
「そ、そんなことはないでござる!!その心づかいだけでも拙者…!!」
「顔赤いニャス。タオからもぷれぜんとニャスよー」
「おぉ。タオ殿も……………む?」
そうタオカカから渡されたものにバングは思わず固まる。
渡されたのはオリエントタウンで幾度か見たことのある温かい包みである。
バングも買ったこともあるものだしこれを持ってるとタオカカがすぐにわけろわけろと寄ってくるのもよく知っている、まぁとにかく…慣れ親しんでいるものだ。
「タオ知ってるニャス!!ぷれぜんとはもらって嬉しいものが一番ニャス!!タオがもらって一番嬉しいのは肉まんニャス〜!!」
「そうね…確かにそう教えたけど…」
「い、いや嬉しいでござるよ。タオ殿かたじけないでござる」
「じゃあ一個わけてくれニャス」
「こらタオ!!」
タオカカなりに考えての結果であるならば文句が言えるはずもない。
いやむしろここまで考えてくれたことに礼を言わねばならないくらいだ。
「じゃあこれは僕と姉さんからです」
「カルル殿まで…かたじけないでござる」
「いいんです、バング先輩にはお世話になってますし。ね、姉さん」
物言わぬ姉もこくりと頷く姿にバングも礼を言う。
シンプルながらもおしゃれに飾りつけられた箱はなんともカルルらしい。
おそらく二人で選んだのだろう、丁寧に『バング先輩へ』と書かれたカードまで挟まっている。
「お頭!!街の者たちからも祝いの品がたくさん届いてやすぜ!!」
そういって部下たちが別室に隠してあったのだろうそれを見せる。
大きいものから小さいものまでいろんなものがずらりと並べられている。
なんとも壮大な光景である。思わず零れた涙をくっと拭う。
全員を見渡しそしてバングは高らかに告げた。
「皆の者、それでは宴を始めるでござるよ!!」
* * * * * * * * * *
宴が始まり幾時か過ぎた。厠へ、とバングはしばしその場を後にする。
宴会場と化した部屋は大盛り上がりでとても賑やかなことになっていた。
タオカカがあちこちの食事に手を出して卓の上が散々なことになったり、
酒の入ったライチが部下の覆面の下が気になると無理にひっぺはがそうとしたり、
誰かに酒でも飲まされたのか騒がしい喧騒のなかカルルが姉の膝ですやすやと眠っていたり…。
バングもおおいに楽しんでいた。このような騒ぎは本当に久々だった。
確かに部下たちの言うように自分のための祝い事など考えたこともなかった。
昔からバングは己の事より国や民の事を一番にと行動していた。
殿が新年の席と共にバングの祝いを行ったのはそんなバングを思ってのことだろう。
毎年毎年同じように驚かされていた、それすら懐かしい。
そんなことを思い出しているとふと見覚えのある姿が視界に入り立ち止まる。
「…ハクメン殿?」
面を取り軽装ではあるがそれはまさしくハクメンだった。
屋敷の中はよほど無防備らしい、こんな廊下で出会うと思わなかったバングは面食らって言葉に詰まる。
「…邪魔したか」
「そんなことはござらんが一体何用で…」
「これを渡しに」
そう言って瓶を渡す。中に入っているのは酒だろうか。
意図が読めずバングが瓶とハクメンを何度も見比べているとハクメンが口を開いた。
「貴公にとって目出度い日なのだろう。せめてもの品だ」
そこまで聞けば十分だった。まさかハクメンにまで祝われるとは考えていなかった。
それだけ言って踵を返そうとするハクメンを思わずバングは呼び止める。
「せ、せっかくでござる!!上がって皆と…」
「それはいい。私のようなものが居ては興が冷めるだろう」
「しかし!!」
バングからすればハクメンもあの中に居るべき友である。
確かにハクメンのことをよく思わぬ者がいるのもわかっている。
それでも、せめての席だけでもと思う事の何が悪いというのだろう。
バングの必死の態度に、だがハクメンは折れなかった。
あのような席に自分が交ることはあり得ない、そうとでも言いたげな視線を送り背を向けた。
背後でバングが物言いたげにしているのが気配でわかる。
普段あれだけ物怖じせずに喋る男とは思えぬ姿にハクメンはその顔に僅かに情を浮かべた。
「………今度貴公が我の処に来て酒を飲み交わす、それでどうだ」
「も、もちろんでござる!!承知致した!!」
顔を見ずともバングが顔を輝かせているのが目に見えるようだ。
「近いうちに必ず行くでござるよ!!」
大声で言うバングに返事はせずにその場を後にする。それで通じただろうと思っての事だ。
去る背にバングはもう一度礼を言った。
暇ではないと言っていたのにこうして祝いの品を持ってきてくれたことが嬉しかった。
「お頭ー何してるんでさー?」
「主役がそんなとこにいちゃいけませんぜ」
「おぉ、今戻るでござるよ!!」
部下に急かされながらバングはハクメンの誕生日を今度は自分が盛大に祝おうと思った。
ハクメンだけでない、ライチやタオカカ、カルル…それに部下の皆も。
そのためにもカグツチの平和を守り続けよう、こうして平和に祝える日々を作ろう。
そうバングは志を新たにした。